こっくん道場

南の島から東大に来た僕が日々思うアレコレ

電子書籍と紙の本、あなたはどちらが好きですか?

電子書籍か紙の本か」みたいな議論には正直関心がなかったのですが、先日読んだコーエンの「大停滞」という本の中で電子書籍についてちょっと触れているところがあって少し興味がわいてしまったのでそれについて話そうかと思います。 

「大停滞」の中で彼は、電子書籍はDRMシステムがあるために回し読みができないという風に述べていました。

DRMシステムは「文書などのデジタルコンテンツを暗号化して、対価を支払った人や特定の機器しか再生できないようにする著作権保護機能のこと。(DRM(デジタル著作権管理) | 日経 xTECH(クロステック)の記事を参照)」を言い、このせいで紙の本で気軽にできていた本の回し読みができないという論点になります。

だいぶ単純な論点ですが個人的に興味深くて、この問題に取り組んでいる事例はあるのか気になり色々電子書籍関連の情報を探索してみたら案外面白かったので紹介したいと思います!

ということで、今回は情報まとめ的な記事になります!

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DRMフリーの取り組みは限定的か

DRMフリーでやっている事例もありましたが、これのほとんどを技術書が占めているのが現状みたいです。

 (参照:オライリー、自社電子書籍のDRMフリー化を宣言 - ITmedia eBook USER

その他のジャンルの書籍は基本的に、著作権を守り図書の不正使用を防止すべくDRMシステムが導入されているようです。

例えば、千代田図書館では電子書籍の貸し出しをオンライン上で24時間行っていて、そこでも同様の理由からDRMシステムを導入している現状です。(図書館は従来の形でも回し読みは想定されていないことには注意が必要ですが…)

(参照:千代田図書館が電子書籍まで貸出してたので登録してみた |

教育現場での例外

例外的に、教育出版で大手の明治図書出版はDRMフリーで電子書籍を販売しているみたいです。2018年2月11日にも電子書籍のタイトルを11増やしており、どんどん拡大しています。

(参照:明治図書の電子書籍 - 明治図書オンライン

電子書籍を回し読みできる時代はまだ先?

紙の本のように、手軽に回し読みができる時代はまだ先でしょう。誰と誰が貸借関係にあるかを把握した上で著作権を破らないようにし、不当な使用も防ぐのはそう簡単なことではありませんからね(個人と個人だけでのやり取りは容易ではない)。

ただ、先ほど述べた千代田図書館の仕組みにブロックチェーン技術を応用すればできないことはないと思います(がその話をすると長くなるのでここでは省略します)。

下記の記事は、哲学的に「電子書籍を所有する」ことについてブロックチェーン技術を用いて追求した実証実験のコラムです。

近年急成長しているブロックチェーン技術に関する新たな見方も生まれると思うのでぜひ読まれてみてください。

電子書籍は「所有」できるか──ブロックチェーンによる実験的出版が投じた哲学的な問い|WIRED.jp

楽天が日本の電子書籍市場を引っ張る?

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電子書籍としてAmazonが提供するKindleは聞いたことはある人は多いでしょうが、楽天の提供する楽天koboは知らない人も結構多いかと思います。

そんな電子書籍市場の最大手であるAmazonに一矢報いるべく楽天が活発に動いてるみたいです。

楽天が世界最大の電子図書館サービスを提供するOverDriveを買収

OverDriveは図書館や教育機関に電子書籍配信サービスを提供している米国の企業です。2015年3月に楽天による買収が公表されました。

 OverDriveは下記のようなサービスです。

ユーザーは、図書館や教育機関の貸出IDを使って、パソコンやモバイル端末からアプリ経由で「OverDrive」にアクセスし、電子書籍などのデジタルコンテンツを借りることができます。コンテンツはパソコンやモバイル端末で楽しむことができ、貸出期間終了後は利用できなくなるため、返却する必要がありません。また、希望するタイトルが貸出中の場合は、貸出予約をするか、同タイトルの電子書籍を購入するかを選ぶことも可能です。

楽天は、koboとOverDriveの二本柱で電子書籍市場での国際展開をどんどん拡大していくことでしょう。この買収により、いわば公的な部分での基盤を獲得できたのは非常にインパクトが大きいでしょう。

参照:楽天株式会社:  楽天、図書館向け電子書籍配信サービス事業者米OverDrive社の全株式を取得 | ニュース

楽天いどうとしょかんで日本中の子供に本を

「楽天いどうとしょかん」というプロジェクトで、電子書籍である「kobo」と電子図書館である「OverDrive」を搭載し、もちろん従来の紙の本も載せた車で全国を回って日本の子供たちに読書体験も提供しています。

参照:楽天いどうとしょかん | 楽天株式会社

楽天が浜松市と提携協定

浜松市としては市民の外国語教育の強化を主な目的とし、楽天としてはOverDriveの普及が一番の目的といったところでしょうか。

何にせよ、OverDriveは公的機関に対するサービスなので行政と提携したのは重要な事態だと言えます。

参照:楽天、浜松市と電子図書館に関する連携協定書を締結 | 楽天株式会社

東大と電子書籍

ではでは、東京大学は電子書籍とどう付き合っているのか当然気になります。

経済学部図書館で、電子書籍が読めるサービスを微かにやっていることはこの前気付いたのですが、正直それくらいしか知りませんでした。

しかし、どうやら結構やってるみたいです。

先人の思考の過程をスマホで見られる時代?!

ゼミの課題図書を電子書籍化し、ネット上で各人の読書体験や参考情報を参照できるようにする実証実験が東大では行われているそうです。

ゼミ内での研究発表しかり、学術論文しかり、いずれも何千と思考を繰り返してたどり着いた結論を分かりやすくまとめたものにすぎないために思考過程を知れず、どうしても学べる量が限られてしまうように思います(失敗体験も学べない)

一方、電子書籍上で読んだ人の思考を蓄積していくことができるとなると、その一つの本なり論文なりから得られることは計り知れないと思います。

そういった意味で、学術研究的側面でも文化創造的側面でも新時代が到来するかもしれないなと思いワクワクしています。

(参照記事:東大が描く次代の図書館像、電子書籍で書き込み共有し知の流通を実証実験 | IT Leaders東京大学附属図書館と京セラコミュニケーションシステムが、次世代ハイブリッド図書館の実現に向けた実証実験を開始|KCCS

電子図書館と伝統的図書館の融合を目指したハイブリッド図書館構想

現在、東京大学では総合図書館の改修工事が行われています。このせいで、大学での勉強する場所が減ってしまって不便ですがこの改修を経てどうやら魅力的な図書館になるみたいなので今はしばし我慢したいと思います……。

電子図書館としては電子化された学術情報を集約してアーカイブで公開していく予定だそうです。

また、伝統的図書館と言えど、国内最大規模の300万冊を収容できる自動化書庫が設置されるということでむしろ未来的ではあるかなとは思います。アジア研究図書館も新設されるということで東大の大学としての世界におけるプレゼンスがどう影響されるか楽しみです。

完全に完成するのは2019年だそうで大学院に行かなければ少しの期間しか恩恵を受けられないんだなと思うとちょっと悲しい…。完成したら使いまくろう。

(参照記事:新図書館計画とは | 東京大学新図書館計画公式ウェブサイト

下記は新図書館計画が分かりやすくパンフレットにまとめられていますので興味があったらご覧になってみてください。

https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/sites/default/files/files/2017-08/%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E3%81%AE%E7%AA%9355%E5%A2%97%E5%88%8A(2016.4)_0.pdf

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日本は電子書籍の「後進国」なのか?--米国との差を「刊行点数」から推定 - (page 2) - CNET Japan

図書館の電子書籍をより可視化する方法 - ITmedia eBook USER

図書館総合展リポート:OverDriveの電子図書館サービス導入第1号が示した「7つの教訓」 - ITmedia eBook USER

図書館向け「電子書籍」がなかなか増えない理由 - INTERNET Watch

障害者差別解消法施行に向け、電子図書館の本格的な普及が始まるか? - INTERNET Watch

下の記事は電子書籍市場の概観を見れるからおすすめです!

vdata.nikkei.com

電子書籍まとめ

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電子書籍、そして電子図書館という分野は今後ブロックチェーン技術とうまく結びつきながら近いうちに世界を大きく変えるかと思います。ぱっと調べただけでこの分野でも面白いことできそうな気がしてきたから、時間の無駄ではなかったかな。

注意深く見てみます。全然書き足りないのですがタイムオーバーしてしまいましたのでここらで手を止めたいと思います。

時間ができたら、ブロックチェーン技術と電子書籍というテーマで、別で記事を書きたいと思います。ではまた!